コンテンツへスキップ

カート

カートが空です

記事: Always your way

Always your way

Bonjour,

今日は、2026年春夏コレクションの制作裏話を、少しだけ。

2025年7月初旬の朝。

いつものように、朝のコーヒーと共に我が家のテラスへ。
すでに太陽は高く、肌を刺す日差し。
アイスコーヒーの氷もすぐ溶けていく。

今日も暑くなりそうだね、と気温を確かめる。
夏の朝のルーティンは、だんだんと期間が長くなっている。

私はそのころ、2026年の春夏企画を立てながら、
35度を超える日々に、何を提案できるのか、答えが見つからないでいた。

彼が言う。
「君は、デザイナーとして、次の夏向けに何を作るの?」

やっぱり、ちゃんと考えなきゃだめだよね。
私、デザイナーだよね。
だけど、この暑さで着たいものって何だろう。

機能素材を使ってみる?
でも、どこかピンとこない。

機能の前に、素敵かどうか。

それからしばらくの間、生地をリサーチしたり、絵を描いたり。
L’UNEの服は、35度の外では着られないのかもしれない。
きっと、冷房の効いた部屋で着るものなのだろうか。

でも、それだけでいいのだろうか。

35度でも快適なもの。
もう少し考えたい、という気持ちと、少しの意地。

あの朝の彼との会話に、返事ができないまま夏休みになった。

ある日、映画を観た。「テルマ&ルイーズ」。最後にテルマが言う。
「本当に目覚めた気分よ」

その言葉が、ずっと心に残っていた。

何かを作るとき、
これはできない、あれも難しい、と、知らず知らずのうちに制約をかけている。

でも、それは本当に“できない”ことなのだろうか。
それとも、自分でそう決めているだけなのか。

そんなことを、ぼんやりと考えていた。

ある日、35度の答えを探しているとき、
無理かもしれない、とあきらめかけた。

でも、自分の出した「できない」という答えに、違和感があった。

何か違う。

あれ、なぜ35度に、だけこだわっているのだろう。
35度“も”と、少し広く考えたらどうなるのだろう。

青い鳥は、アトリエにいた。

新しく何かを考えなくてはいけない、
そんな制約をかけていたのは、自分だったのだと気がついた。

アトリエで一人、つぶやく。
「本当に目覚めた気分よ」

そして、ひらひらと言葉が降りてきた。

Always your way.
いつものあなたのやり方で。

制約をかけてしまうのも、人間だから仕方ない。
でも、大丈夫。
いつものあなたの、私のやり方でいい。

この言葉が、自由を与えてくれた。

作り手である私にも、
そして、その服を着てくれる人にも。

大地に乾いた風が吹き、
高い空と雲の下を駆け抜ける、メタリックブルーのフォード・サンダーバード。

テクスチャーと色が決まっていく。
あの映画の景色のように。

Always your wayという言葉から、新しいクロが生まれた。

これまでのクロとは少し違う、透明感のあるクロ。
強さだけではなく、風が通るようなクロ。

目線を少し変えたら、
同じ色の中に、違う表情が見えてきた。

空気を纏うようなコットンオーガンジーのコート。
風が吹き抜けるラウンドトップス。
コットン強撚糸ジャージーのスクエアカーデイガン。
ラミー混のシャツとパンツ。

それらは、肌さわりがよく、素肌でもレイヤードとしても、シーズンを超えて着られるはず。

そして、青い鳥。
トリアセテートジャージー。

5年以上前に出会ってから、ずっと好きな素材。
まず、美しい。
そして、さらさらとした着心地。
家で洗えるし、シワになりにくい。

トップスやパンツを作り、ラックに並べる。

ドレープが揺れ、深い色が重なる。
まるでメロディが聞こえてくるようだった。

それは、のちにJAZZという名前がつくことになる。
このお話は、また次回に

Always your way.

なににも縛られず、
いつものあなたのやり方で、美しく生きていくこと。

そのために、L’UNEは洋服を作っているのだと思う。

彼の問いに返事ができたのは、
紅葉の季節になってからだったけれど。

À très bientôt.

VIEW LOOK

Read more

Plissage de L’UNE(L'UNEのプリーツ)

Plissage de L’UNE(L'UNEのプリーツ)

Bonjour,本日は、L'UNEのプリーツの制作秘話を少し。2015年からアップデートを重ね、今も作り続けているモデルがあります。 その一つ、シグネチャーモデル、プリーツブラウス。   このブラウスが生まれたのは、ある1枚の写真からでした。 1970年代、サンローランが発表した「LE SMOKING」。Helmut Newton撮影、Rue Aubriotに佇む女性の写真。 女性が社会進出...

もっと見る
Une question d’allure. (アウトラインと衿)

Une question d’allure. (アウトラインと衿)

Bonjour,今日はシャツブルゾン制作のお話を少し。 2025年、猛暑が続いていた8月が過ぎ、9月に入ったころ、2026年春夏企画は大洲目にさしかかり、季節の変わり目に、シャツブルゾンの軽さっていいかも?と感じていた。 チャンキーなブルゾンとパンツのセットアップというアウトライン、生地、色も決まっていた。 アームホールを大きく下げた、空気が入るようなアウトラインは見えていたが、丈のバランス...

もっと見る